追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は17頭。追い切り動画で確認できた全馬に評価を付け高評価としたのは7頭。
インフレ気味に評価したにも関わらず、馬券内に来たのは1頭。
ただシャフリヤールは1週前追い切りで【A】評価をつけていた。もしかしたら参考になった人がいたかも知れない。
個人的にもシャフリヤールを本命とするか、レッドジェネシスを本命とするかで迷い、後者を本命としたため、馬券は外してしまいました。シャフリヤール本命なら…。悔しかったです。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | シャフリヤール | B+ | 4 |
2 | エフフォーリア | B | 1 |
3 | ステラヴェローチェ | B | 9 |
4 | グレートマジシャン | B- | 3 |
5 | サトノレイナス | C | 2 |
6 | タイトルホルダー | A | 8 |
7 | ヨーホーレイク | B | 6 |
8 | グラティアス | B- | 10 |
9 | バジオウ | C | 15 |
10 | ワンダフルタウン | B+ | 5 |
11 | レッドジェネシス | A | 13 |
12 | ラーゴム | B+ | 16 |
13 | タイムトゥヘヴン | B- | 17 |
14 | ヴィクティファルス | B- | 14 |
15 | バスラットレオン | B- | 12 |
16 | ディープモンスター | B+ | 7 |
17 | アドマイヤハダル | B+ | 11 |
レース回顧
勝ち時計2:22.5秒は日本ダービーレコード。
2019年にロジャーバローズが叩き出した2:22.6秒を0.1秒上回る素晴らしい時計での優勝となった。
ペースは、前半1000mが1:00.3秒、後半1000mが57.0秒。3.3秒も後半の方が早いスローペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、バスラットレオン(藤岡祐)であった。
パドック
2着エフフォーリアと3着ステラヴェローチェはパドックで名前を挙げることができた。
パドックで良く見えたエフフォーリアであったが、出走直前のゲート前では発汗が激しく少し心配になった。
今回は観客が少なかったことが、エフフォーリアにとっても、横山武史にとってもラッキーだったと言えよう。
10万人を超える大声援があるとないとでは、受けるプラッシャーは確実に異なる。
展開
レースラップは以下。
12.2-10.8-12.2-13.0-12.3-12.4-12.8-11.7-11.4-11.6-11.5-10.8-11.6
赤字の地点、残り1200m地点(向こう正面の坂の下り)からグッとペースが早くなる。
前区間とのラップ差が1.1秒もあり、ここで明らかにペースアップしていることが分かる。
更に、その次の区間となる残り1000m~800m(3角地点)で、ディープモンスター(武豊)とアドマイヤハダル(デムーロ)が捲るように上がってくる。
この2頭の早仕掛けにより、前の2列(合計8頭)があおりを受け一気にロングスパート戦の様相を呈する。
勝負どころとなる3角~4角の中間地点(残り800m地点)での隊列は以下のとおり。
バスラットレオン、グラティアス、サトノレイナス
タイトルホルダー、ヴィクティファルス、ワンダフルタウン、アドマイヤハダル、ディープモンスター
エフフォーリア、シャフリヤール、グレートマジシャン
このロングスパートに巻き込まれて上位に残った馬は、サトノレイナス(5着)とタイトルホルダー(6着)。この2頭は強いです。ただこの2頭を比較すると、能力はサトノレイナスの方が断然上かなと。後述します。
1着 シャフリヤールについて
武豊とデムーロの捲りにより前が苦しくなる展開。
序盤のポジション取りが後ろになったことが、結果的に功を奏した。
ラスト3F地点となる最終コーナー。
外に進路を求めるも、外にはグレートマジシャン(戸崎)。うまく外に出せず、一度は内に入れ進路を探すも、進路がない。
もう一度、外に進路を求めるも、今度はバテ気味のアドマイヤハダルが邪魔で、やはり上手く外に出せない。
手応えの悪いアドマイヤハダルに馬体をぶつけて強引に外に持ち出すも、再びグレートマジシャン(戸崎)。
「もうダメか」と思った刹那。
前を走るサトノレイナス(ルメール)が疲れて大きく右に斜行。
シャフリヤールの目の前にポッカリと進路ができる。
まともに追うことができたのは、このタイミング。坂を登り切った残り300m地点からであった。
この残り300m(坂上)の地点でエフフォーリアとの差は2馬身。
シャフリヤールは、残り200m地点で一度右手前に替えている。
これが効いた。
この手前替えで、一気にエフフォーリアとの差を1馬身差まで詰めると、残り100m地点で再び左手前に戻し、横山武史の渾身のムチで粘るエフフォーリアをハナ差交わしての優勝となった。
ロングスパートに付き合うことなく、脚を溜めることができ、直線で外に出せなかったことで結果的に脚が溜まったか。
ダービーを勝つのは「最も運の良い馬」という言葉もよく聞くが、今回のシャフリヤールは様々なラッキーが重なった。
この馬が見せた坂上残り300m地点からのギアチェンジ性能は素晴らしいものがあった。
またギアチェンジした後に、手前を替えてスピードを持続させる器用な一面も見せた。
今後も強いダービー馬として活躍して欲しい。
2着 エフフォーリアについて
1枠1番からのスタート。
どういう騎乗をするか注目であったが、押して好位3番手のINを取りに行く。
逃げたバスラットレオンが4F目(1角と2角の中間点~向こう正面にかけて)で13.0秒とラップをグンと落としたため、エフフォーリアはかかってしまう。
それを横山武史が懸命に抑える。
横山武史は、この掛かるリスクを承知でポジションを取りにいった訳で、馬を御せる自信の裏付けがあるとともに、大舞台で考えたことを実行できる胆力が素晴らしい。
2角~向こう正面にかけて、武史が折り合いを付けている間に、バスラットレオンが向こう正面の坂上からペースアップしたため、ポジションが徐々に後ろに下がってしまう。
武豊とデムーロが捲り気味に上がっていったため結果的に前が潰れるカタチとなり、向こう正面でポジションを落とし我慢させたことが、結果的に功を奏するカタチとなった。
また、土曜日と、この日の馬場傾向が「外が伸びる」馬場だったことあり、各ジョッキーの意識は外。これも、この馬にとって幸運だった。
直線向いて残り500m地点でスムーズに進路を確保すると、強気にここから追い出しを開始。
残り400m地点に構える府中の急坂を1頭違う脚で力強く駆けあがってくる。
残り200mで前を行くサトノレイナスを捕らえ先頭に躍り出ると、流石に脚色が鈍りだす。
横山武史が渾身のムチを振るい懸命に追うも、シャフリヤールにハナ差交わされての2着。
馬は中盤かかり気味になりながらのこの結果であり、シャフリヤール同様、強さを存分に示す2着であった。
結果的に追い出しが少し早かったか…。
とは言え先述のとおり、序盤押してポジションを取りにいった騎乗を見ると、近い将来ダービージョッキーになるだろうなと十分に思える「技術」と「胆力」の持ち主。
若き天才の今後に期待したい。
3着 ステラヴェローチェについて
表記はスローも、前目にいた馬たちは、ロングスパートに巻き込まれ、早仕掛けを余儀なくされる苦しい展開。
本馬にとって展開が向いたことが3着の要因の一つ。また、4角で川田ヨーホーレイクをブロックしたのは吉田隼人のファインプレーであった。最もロスなくスムーズな競馬ができた馬の1頭であった。
ただ、ハナ差、ハナ差の4着グレートマジシャン、5着サトノレイナスと比べると、サトノレイナス>>グレートマジシャン>=ステラヴェローチェという見立て。
4着 グレートマジシャンについて
戸崎は抜群に上手くのった。
1角~2角で馬が行きたがる仕草を見せていたが、戸崎は行かせることなく、前に壁を作りよく我慢させた。これは戸崎の密かなファンインプレ―。
向こう正面では外に出したがる川田(ヨーホーレイク)を終始ブロックし続けた。(川田は何度も馬体を本馬にぶつけ外を出す意思を示していたが、戸崎は最後まで譲らなかった。)
最終コーナーではスムーズに外に持ち出し、上り4位となる33.6秒。真っ直ぐ走り力を示した。
5着 サトノレイナスについて
残り5F目(3角地点)から捲り気味にあがってきたディープモンスター(武豊)とアドマイヤハダル(デムーロ)に付き合うカタチで、かなり早い段階から脚を使うことに。
ルメール騎手の挙動を見る限り、ここで抑えるつもりは全くなかった。勝負どころであり、ここで抑える選択は無かったのだろう。
個人的には、ここで武豊騎手とデムーロ騎手が捲り気味にあがっていった意図が分からなかった。武史騎手を内に閉じ込めたかったのだろうか…。前が遅いと判断してのものだったのだろうか…。結果的には自滅覚悟の捲りであった。
この2頭の自滅覚悟の捲りのあおりを喰らったこともあり、サトノレイナスも坂を登ってからはかなりキツかったのだろう。
坂を駆け上がった後、外に6~7頭分、大きく斜行していた。
この斜行によりシャフリヤールの進路が開けたわけで、結果的にルメール騎手は若きダービージョッキーの誕生を阻んだ影の存在となっている。(全く意図的なものではないことを承知で書いているので悪しからず…。)
かなり強い競馬をした1頭であり、シャフリヤール、エフフォーリア、サトノレイナスの3強といっても過言ではないかも知れない。
6着 タイトルホルダーについて
前に行った馬が全滅する中、サトノレイナスとともに前で粘り能力を示した。
サトノレイナスとの着差は2馬身。サトノレイナスは終始外目で、本馬は終始内。
サトノレイナスの方が能力は断然上だろう。
7着 ヨーホーレイクについて
全く競馬をできなかった1頭。
川田騎手にしては珍しく下手をうった。
向こう正面では、外にいるグレートマジシャン(戸崎)に何度も馬体をぶつけて、外への進路取りを主張するも、戸崎に譲ってもらえず終始ブロックし続けられた。
4角の勝負どころでも、外のステラヴェローチェ(吉田隼)にブロックされることに。また馬体をぶつけて外を主張するも、隼人も譲らない。
結局上手く外にだせず、最後の直線でも左に行ったり右に行ったり。
今回はまともに競馬ができなかった馬の1頭であり、まったく底を見せることなくレースを終えている。
パトロールビデオを見ると競馬ができなかったのが目立ちすぎているため、次走以降も妙味はない可能性が高いが、もし人気を落とすようなら狙いたい。
次走注目馬:ヨーホーレイク
8着 グラティアスについて
前にいる馬に不利な展開で、番手から粘っての8着は強いが、サトノレイナス、タイトルホルダーよりかは下という見方で良いだろう。この馬がこういう競馬をするとは思わなかった。
9着 バジオウについて
インで脚を溜めた結果である。追い切り評価は【C】としたが、パドックでは良く見え名前を挙げた馬の1頭であった。調子も良かったのだろう。
10着 ワンダフルタウンについて
3角~4角にかけての上記2頭の捲りにより、かなり不利を受けた馬の1頭であり、この着順を額面どおり受け取る必要はなさそう。パドックでも抜群の気配を漂わせており、スムーズであれば1発があったかもしれない。
11着 レッドジェネシスについて
スタートで挟まれたとは言え、最後方で息子の競馬を見ているだけの競馬。Twitterでは授業参観と揶揄されていた。馬主および厩舎関係者からすればチャンスのある馬でありながらこの騎乗をされては、もう二度と騎乗依頼はしたくないのではないだろうか。ファンとしてもとても残念な騎乗であった。
その他の馬について
12着ラーゴム、13着タイムトゥヘヴンは能力的に足りない。
14着ヴィクティファルス、15着バスラットレオンは前に厳しい展開であったが、粘ったサトノレイナス、タイトルホルダーと比べると能力や適性面で劣っていたのは明白。
16着ディープモンスター、17着アドマイヤハダルは、少し意味不明の捲り競馬。今回の結果は度外視で次走再注目してみたい。
次走注目馬:ディープモンスター、アドマイヤハダル