追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は18頭。追い切り動画で確認できた全馬に評価を付け高評価としたのは6頭。うち、【A】評価としたシュネルマイスターが1着も、残りは馬券外。使いようによっては参考になった人がいたかも知れないが、個人的には残念な結果となってしまった。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | シュネルマイスター | A | 2 |
2 | ソングライン | B | 7 |
3 | グレナディアガーズ | B- | 1 |
4 | リッケンバッカー | D | 11 |
5 | ロードマックス | B | 15 |
6 | タイムトゥヘヴン | B+ | 8 |
7 | アナザーリリック | B+ | 10 |
8 | ランドオブリバティ | B | 9 |
9 | ホウオウアマゾン | B+ | 4 |
10 | ルークズネスト | A | 5 |
11 | ヴェイルネビュラ | B | 13 |
12 | ピクシーナイト | B | 6 |
13 | ショックアクション | B+ | 14 |
14 | シティレインボー | C | 17 |
15 | レイモンドバローズ | B- | 12 |
16 | ゴールドチャリス | B- | 18 |
17 | グレイイングリーン | B | 16 |
止 | バスラットレオン | B | 3 |
レース回顧
勝ち時計1:31.6秒は早い。
本レースにおける過去10年の平均勝ち時計は1:32.6秒。これよりも1秒も早く、2010年にダノンシャンティが出したレースレコード(1:31.4秒)に0.2秒迫るタイムであることから、かなり優秀な時計。
ペースは、前半600mが33.7秒、後半600mが34.7秒。1.0秒後半の方が遅いハイペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、ピクシーナイト(福永)であった。
パドック
このレースはリアルタイムにパドックが見れなかったため割愛する。
ただ後追いで見たパドックでは、前向きな馬が多い中、1着シュネルマイスターは、落ち着いて柔らかく歩いていたのが印象的。今回はマイルもこなしたが本質的にはもう少し長い距離の方が良いのかも知れない。
2着ソングラインは、集中して活気十分に歩いていたものの、歩幅は狭くトモの厚みも他馬と比べると小さめ。正直これでよく「あの強い競馬」ができたなという感想だ。
3着グレナディアガーズは歩様がカクカクしていた点は気になったが、立派なマイラー質の馬体が目を引いた。
さすがG1である。このレースは良く見える馬が多かった。
総評
今年のNHKマイルカップの勝ち時計1:31.6秒は、翌週のヴィクトリアマイルの平均勝ち時計1:31.7秒(過去10年の良馬場のみの平均)よりも早く、かなりハイレベルな1戦。
少し強引かもだが、2着のソングライン(牝)は、来週のヴィクトリアマイルに出走しても通用する可能性があるとも言えよう。
NHKマイルカップの馬場について
上位1、2、3着馬はみな馬場の綺麗なところを通った馬であった。
Aコースで行われる最終週(4週目)の馬場ということもあり、3角~4角にかけて馬場の内側はかなり荒れていた。
3着グレナディアガーズ騎乗の川田騎手のレース後のコメントで、「馬場を選んで走らせるプランでした。」と述べており、やはり内側より外側の方が馬場状態は良かったのだろう。
このレースで好走するには、距離ロス覚悟で、3角~4角を馬場の綺麗のところを回った方が良いという仮説(内側を回り過ぎると不利という仮説)が成り立つ。
このレースで好走する馬に「距離短縮組(前走1800m)」が多いというのも、この辺りに起因しているのかも知れない。
1着 シュネルマイスターについて
このメンバーに入るとテンの脚は遅い方、序盤は中団(9番手)を追走。
この馬は「ビュン」とキレる脚がなく、長く良い脚を使うタイプ。
序盤スローからの瞬発力勝負となると、少し分が悪いかも知れない。
柔らかく動ける馬で、まだまだ伸びしろは感じる。今後にも期待したい。
2着 ソングラインについて
もっとも強かったのは、この馬だろう。
この早いペースを前目で追走し、直線向いてからの手応えも抜群。
直線での手応えは、シュネルマイスターより上だった。
グレナディアガーズ(川田)の追い出しに呼応するように、残り500mあたりから追い出しを開始されたが、結果的にもう少し追い出しを遅らせていれば、勝ったのは恐らくこの馬だった。
ただ、これは結果論。
グレナディアガーズに突き放される可能性はあった訳で、あのタイミングでの追い出しは仕方がないと考える。
目で見えるこの馬の敗因は、以下の2つ。
- グレナディアガーズを交わした後、残り150mから左にヨレたこと
- このヨレを回避するために残り50mで手前を戻して対応したこと
1つ目は距離損となっており、2つ目は失速の要因となっている。
これがなければ、勝ったのはこの馬だった。
ただ、上記2つが発生した原因は、やはり少し早めの仕掛けにあったのではないか。
グレナディアガーズを交わしてから、「気を抜いたような走り」になったようにも見えたが、ヨレているあたり、やはり「苦しかった」のだと筆者は考える。
3着 グレナディアガーズについて
レース映像からゼッケン下に激しい発汗。パドックでは発汗は見られなかった。リアルタイムに映像を見れなかったため待機所での様子は見て取れなかったが、途中で何かあったのだろうか。川田騎手のコメントからそれは読み取れなかった。
ただ、やはり気性面に課題のある馬であることには変わりなさそうだ。
本レースでも、スタートして2F過ぎたあたりで、川田騎手が一度息を入れようとするも、馬がそれに応じない。
川田騎手は作戦を切り替えた。
馬とはケンカせず行かせて、直線も早めに仕掛けて「後続の心を折る」作戦だ。(大阪杯のレイパパレで見せた乗り方をイメージ。)
ただ、「馬場の良いところを走っていた」とは言え、早いペースを終始外目を追走し、早いタイミングでの追い出し。
ラスト1Fでは流石に脚があがってしまった。
前に行った馬には厳しい展開でありながら、3着に残したのはこの馬の能力だろう。
折り合い一つで、爆発的な強い競馬をしてきそうだ。
この馬については、気正面の成長が今後の課題だろう。このあたりを注目してみていきたい。
その他の馬について
6着タイムトゥヘヴンは、馬群に突っ込めない怖がりなところがある馬であることは覚えておきたい。
このレースは前の内目を通った馬には厳しいレース。そういった意味で、8着ランドオブリバティ、9着ホウオウアマゾン、10着ルークズネストも見限るのはまだ早そう。
筆者本命だったルークズネストは、スタートも早く、ムリなく好位を追走していたと思ったが…。
パトロールビデオを見ると、3角~4角のコーナーリングで少し窮屈だったか。
終始、馬場の悪いところを通らされ、ごちゃついた馬群の中で精神的な消耗度合いが大きかったのだろうか…。
直線進路を見つけてからは一瞬グッと伸びようとしていたが…。
追い切り映像から、身体の使い方は素晴らしく、まだどこかで良い走りを見せてくれると信じたい。