追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は16頭。追い切り動画で確認できた全頭に評価を付け高評価としたのは4頭。
結果は、【B】→【B】→【A】。人気薄の【A】評価馬シヴァージが馬券内。参考になった人がいたら嬉しい。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | ピクシーナイト | B | 3 |
2 | レシステンシア | B | 2 |
3 | シヴァージ | A | 10 |
4 | メイケイエール | B | 7 |
5 | モズスーパーフレア | A | 5 |
6 | ダノンスマッシュ | B | 1 |
7 | ビアンフェ | B- | 9 |
8 | クリノガウディー | B- | 6 |
9 | ミッキーブリランテ | B- | 13 |
10 | ラヴィングアンサー | B- | 15 |
11 | ジャンダルム | B+ | 4 |
12 | タイセイビジョン | B | 11 |
13 | エイティーンガール | D | 14 |
14 | アウィルアウェイ | B- | 12 |
15 | ファストフォース | B+ | 8 |
16 | ロードアクア | B | 16 |
レース回顧
勝ち時計1:07.1秒は早い。
中山競馬場の良馬場における過去10年の平均勝ち時計1:07.5秒よりも0.4秒早く、過去10年で2位タイの時計。
優秀な時計である。
ペースは、前半600mが33.3秒、後半600mが33.8秒。前後半差の少ないミドルペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、モズスーパーフレア(松若)であった。
パドック
ピクシーナイト、レシステンシアの名前を挙げることはできた。
Twitterは140文字までしか書けない。最後の1頭は、正直シヴァージとタイセイビジョンで迷ったが、後者を選択した。
この日の馬場状況
木曜日の夜〜金曜日にかけ、関東地方は台風による大雨。かなりの降雨量だったと思われる。
土曜日、日曜日はともに朝からカラッとした秋晴れ。気温も30度近くまで上昇した。
この週の中山競馬場の芝レースの勝ち時計は、至極平均的。馬場レベルは平均的な良馬場だった。
金曜日の降雨量を考えると中山競馬場の水捌けはとても良いですね。
1着 ピクシーナイトについて
3歳馬で若きスプリント王となったピクシーナイト。
3歳でスプリンターズSを制した馬は、過去に数頭いるが、1分7秒台で勝った馬は2頭だけ。1992年のニシノフラワーと、1997年のタイキシャトルだ。いずれも名馬であり、本馬もこれら名馬と肩を並べる存在なのかも知れない。
この若きスプリント王は、デビュー当初ある課題を抱えていた。スタートだ。新馬戦、続く秋明菊賞ともに出遅れ。
これが年が明けてから一変。シンザン記念では抜群のスタート。その後のこの馬のスタートは常に抜群のスタートを見せている。
この若きスプリント王の誕生の裏には、ゲート内での駐立を安定させた陣営の努力も見逃せない。また、NHKマイルでの大敗後、舵をスプリント路線に切り替えた陣営の判断も見事。
筆者は、本馬の狙いはサマースプリント王だと思っていた。
そのサマースプリント王を賭けたセントウルSでクビ差届かずの2着。
ピクシーナイトが、セントウルSで100%の仕上げであったのに対し、レシステンシアは80%程度の仕上げとみており、ここで優勝したレシステンシアの強さの陰に隠れ、少し盲点となってしまったか…。
レースは見てのとおり。抜群のスタート。テンのスピードがあり、スッと好位の3番手。4角では前を走るモズスーパーフレアとビアンフェの間をこじ開ける力強さを見せ、坂下からスパート。モズスーパーフレアに並ぶ余裕すら与えず、交わしさる脚力の強さを見せた。ラスト1Fは計算すると11.2秒となるが、実測すると10秒台で走っているようにも見える。坂を駆け上がる脚は、この馬とシヴァージだけが群を抜いていた。
強さを疑う余地はないが、IN前有利の馬場の恩恵に加え、2枠4番という絶好枠。周りもゴチャついておらず、終始スムーズな競馬。モズスーパーフレアが作った前半33.3秒というペースも良かったのだろう。
次走は暮れの香港スプリントだろうが、割とハードに使われている。身体を大切に。また強くてカッコ良いピクシーナイトに会える日を楽しみにしたい。
2着 レシステンシアについて
ルメールのポジション取りは完璧だった。結果的にはピクシーナイトとの内外の違いが大きかったか。とは言え、ついた着差は、短距離では決定的とも言える2馬身。それだけとは思えない。
ルメール騎手は、レース後「少し忙しかった」とコメントしていた。たしかに残り600m手前から手が動いており、中盤の追走力は勝ち馬と比べ見劣った。
この追走力が見劣った地点は、坂を下りきり平坦となったあたり。初の中山の舞台であったが、もしかしたら、この馬は中山競馬場では少しパフォーマンスを落とす(坂を下りきった後の更なるペースアップが苦手)という可能性はある。
次走以降、中山の舞台を使う時は、この地点(前半600m近辺)での追走力に着目してみたい。
それでも2着確保は地力の証。上り3F時計は、ピクシーナイトより0.1秒遅いだけ。ただ、残り100mで手前を戻していた辺り、最後は苦しかったのだろう。
ピクシーナイトが抜けて強かったということもあるが、枠順、中山コース適正で、この差が付いた可能性も捨てきれない。ただ、能力高い馬であるという評価に変わりはない。
3着 シヴァージについて
想定外だったのが序盤の位置取り。何と勝ち馬ピクシーナイトの真後ろ、好位5番手のINに付けることに成功する。
このポジションを取れたのには、いくつか理由がある。
1つは、「吉田隼人が最内枠を活かし最序盤から押してポジションを取りに行く積極的な騎乗をしたこと」。もう一つは、「ミッキーブリランテ、ファストフォースが立ち遅れたこと」。そしてもう一つは「調子が良かったこと」。
ファストフォースの出遅れを予想していれば、枠の並びからシヴァージが好位を取れる算段がついたかも知れないが、これはなかなか難しい。筆者は、ファストフォース、ミッキーブリランテより後ろになるという見立てであった。
最後の坂下におけるシヴァージの脚は、ピクシーナイトと遜色ない脚色。
直線でモズスーパーフレアの内に進路を求め詰まるミスもあり、これがなければ2着はあったのではないだろうか。
枠順による内外の差や、ピクシーナイトの真後ろという絶好位だったことはあれど、それらを加味しても、このレースにおいてはレシステンシアよりも強く映った。
追い切り【A】評価とした馬。パドックも素晴らしく、調子も良かったのだろう。
調子の良し悪しが成績とリンクしそうな馬であり、今後も注目していきたい。
4着以降の馬たちについて
筆者時間の都合上、4着以下はサラリと記載する。
4着 メイケイエールについて
4着メイケイエールは、発走直後にハミ受けが不良となり、大きく外に逃避。外にいたタイセイビジョン、エイティーンガールに迷惑をかけた。
この件はさておき、ここから終始外を回し、最後にモズスーパーフレアまで交わすのだから、やはり並の馬ではない。
これほどの能力を持ちながらフルに発揮できない気性が本当にもったいない。追い切りからある程度、この課題がクリアできているかは見て取ることはできる。今後も注視したい。
5着 モズスーパーフレアについて
注目のビアンフェとのハナ争いを難なく制して、理想とする単騎逃げ。ただ、あまりにもラクに逃げることができ、400-600m区間ラップが11.0秒まで落ちてしまった。2019年のスプリンターズSで、1:07.2秒の好時計で2着となったときは、この区間を10.3秒で走っており、少し前半緩んだ点が悔やまれる。前半3Fを32秒台で走った時の方が、この馬の能力をフルに発揮できるのではないだろうか。筆者はそう考える。
6着 ダノンスマッシュについて
この馬の敗因。これがこのレース回顧の一番難しいところかも知れない。海外遠征を挟む、過去にない5か月半の休み明け。早い時計決着に対応できなかった。加齢による衰え。いずれの可能性も否定できない。筆者としては加齢による衰えが最大の要因かも知れないと整理しておきたい。