追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は13頭。追い切り動画で確認できた全頭に評価を付け、高評価としたのは3頭。
うち2頭が馬券内も、個人的には本レースに穴馬が入る余地はないと考えていたため結果は惨敗。
パドックから「火中の栗を拾う」心意気でカレンブーケドールを拾ったが、案の定ヤケドしてしまった。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | クロノジェネシス | B+ | 1 |
2 | ユニコーンライオン | B | 7 |
3 | レイパパレ | A | 2 |
4 | カレンブーケドール | B | 3 |
5 | キセキ | B | 5 |
6 | ミスマンマミーア | B- | 9 |
7 | カデナ | B- | 8 |
8 | モズベッロ | C | 6 |
9 | アリストテレス | B+ | 4 |
10 | ワイプディアーズ | B- | 13 |
11 | メロディーレーン | C | 10 |
12 | アドマイヤアルバ | B- | 12 |
13 | シロニイ | B | 11 |
レース回顧
勝ち時計2:10.9秒は少し早いか。過去10年における良馬場での平均勝ち時計が2:11.7秒。開幕2週目だったとは言え、2分10秒台なら十分に早いと言えよう。
ペースは、前半1000mが1:00.0秒、後半1000mが58.5秒。1.5秒後半の方が早いスローペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、ユニコーンライオン(坂井瑠)であった。
パドック
ユニコーンライオンも外目を落ち着いた周回をしており悪くはなかったが、Twitterで名前を挙げることができなかった。
展開
台風の影響で直前まで天気がどうなるか分からず、多くの競馬ファンをやきもきさせた。
当日の朝、雨は降らなかったが、8R~9R(14:00~14:30)あたりに、にわか雨。
一瞬まぁまぁ激しく降るも、その後止み、レース開始時点での馬場状態は良であった。
また今年の宝塚記念は京都競馬場改修工事の影響で開幕2周目に行われており、馬場状態は例年と比べると良好。
比較的、まだ内がよく、時計も出る馬場であった。
1着 クロノジェネシスについて
スタート、自然なカタチでスッと前の2頭を見るポジションに。絶好の3番手。
この馬を本命にしていた人は、この時点で馬券内は固いと安心したことだろう。
その後、外から来たキセキを行かせて、4番手で終始レースを進める。
勝負どころの4角手前での手応えも抜群。
周りの馬が懸命に追い出しを開始する中、涼しい顔して4角を回ったのは、レイパパレとクロノジェネシスだけ。
直線での進路どりも、レイパパレとキセキの間を難なく確保。
4角でキセキの脚色がもう少し良ければ、クロノジェネシスをブロックできていた可能性はありました。それでも勝っていたかもですが…。
その後は、慌てることなく前を追いかけ、坂下でステッキ2発。
何なく交わし去り、2着馬以降に2馬身半差付けて圧勝。
完全に力が違った。
これでG1を4勝し、「宝塚記念」→「有馬記念」→「宝塚記念」とグランプリレースを総なめ。
生涯成績は、15戦して8-3-3-1となった。
この馬については、何も言うことがない。
大阪杯覇者のレイパパレを下し、アーモンドアイが引退した今、名実ともに現役最強馬だ。
次は、凱旋門賞に向かうことになるだろう。
クロノジェネシスの父バゴは凱旋門賞馬であり、本馬もスピードとパワーを兼備。期待が高まる。
ただ、今年の凱旋門賞には、歴史ある英オークスで、雨の中、16馬身差をつけた怪物3歳牝馬スノーフォールがいる。
日本で生まれアイルランドに渡ったこの3歳牝馬が、最大のライバルになりそうだ。楽しみにしたい。
2着 ユニコーンライオンについて
坂井瑠騎手が、この馬が得意とするスローなペースを見事に作りだした。
ハナを切ってペースをコントロールすることがこの馬の能力を最大限に発揮する絶対条件。
川田騎手騎乗のレイパパレとの主導権争いを制し、ラストの直線での叩き合いでレイパパレを差し返しての2着は、格別に嬉しかったことだろう。
レースでは、図ったようにラスト4Fからのロングスパート。
宝塚記念のラスト4Fは46.2秒であるが、鳴尾記念ではそれよりも0.6秒早い45.6秒で走っている。
スタート直後の馬体接触についても、わざとぶつかっている訳ではなく、これは仕方のないことである。
坂井瑠騎手には、素直におめでとうと言いたい。
川田騎手もこの馬の力を少し過少評価していたのかも知れない。ラクに逃がし過ぎた感は否めない。
次走以降はマークが厳しくなるだろう。
3着 レイパパレについて
川田騎手は恐らくハナを奪いたかったのだと思う。
ただ、スタート直後、右隣りのユニコーンライオンがヨレ、レイパパレと接触。
これで、レイパパレのダッシュが一瞬止まってしまう。
その後、ユニコーンライオンは押して押してハナを主張。
それに対して、川田騎手はユニコーンライオンと馬体を離し、馬をカッカッさせないよう、基礎スピードの違いだけでハナを窺うも、ユニコーンライオンを交わせない。
川田騎手の判断は早い。
「このままユニコーンライオンと競り合ってはダメだ」と最初の1Fで判断する。
ここからが川田騎手の苦難の旅。
およそレース半分を、レイパパレをなだめながら(折り合いをつけながら)の走りとなった。
この馬が自由に走れたのは、ペースアップした残り800mあたりから。
それまでは、川田騎手に制御されながら(体力を消耗しながら)の走りで、ほとんど自分の競馬ができていない。
川田騎手も、何とか「馬とケンカせず」、「周りに折り合いがついていないことを悟られないよう」、上手く騎乗していたが、やはり馬に我慢させており、ジワジワと体力は消耗していたのだろう。
最後の直線で、一度交わしたユニコーンライオンに差し返されたのは、距離というより、折り合い面だったと筆者は考える。
それでいて、番手競馬から上り4位の脚を繰り出し、カレンブーケドール以下を2馬身千切っての3着は立派。
現役最強馬クロノジェネシスとの再戦を楽しみにしたい。
今度は、レイパパレが100%能力を出し切るカタチで。
その他、高評価馬について
9着 アリストテレスについて
スタート~1角までの間、クロノジェネシスとカレンブーケドールとの間に入ろうとするも、クロノジェネシス(ルメール)がそれを許さず、進路を阻まれるシーンあり。
これで少し掛かっていたかも知れない。向こう正面では口を割る仕草も見せていた。
クロノジェネシスを見るカタチではあったが、後方ポジションに押しやられる。
残り800mからのペースアップに対応できず、少し遅れてクロノジェネシスに付いて行くも、ラスト1Fの坂下で伸びたクロノジェネシスとは対照的に、本馬は坂下で完全に止まってしまった。
上り3F時計は、キセキ、モズベッロ、メロディーレーンと同タイムの7位タイの脚。
何の見せ場のない競馬となってしまった。
追い切りでは動けていたとは思うが、パドックでは発汗が見られ、少し入れ込み気味だったか。
Twitterのパドックレポートで名前をあげたが、これは筆者の見立て誤りだったと反省している。
再度見返してみても、ゼッケン下および、股下の発汗が激しく、やはり本調子ではなかったか。少しこの馬に対する期待が大きかったかも知れまない。
この馬のパドックが良かったのは、出雲崎特別(1勝クラス)。本来もう少し力強い踏み込みをする馬である。
この状態でスタートし、1角までの間にクロノジェネシスと接触したことで、終始力んで走っていたように思える。
最後は脚が上がっていた。
本馬は、ルメール騎手から武豊騎手への乗り替わり。戦前からアリストテレス×武豊のタッグに違和感を感じてはいたが、やはり武豊騎手とは手が合っていないようにも思えた。
武豊騎手は、レース後のコメントで、「狙ったポジションは取れたが、馬場が合わなかった。綺麗な馬場の方が良い」と馬場に敗因を求めていたが、果たしてそうだろうか。筆者はポジション取りで、思ったポジションが取れなかったと考える。
いずれにせよ、少々負け過ぎの感が強い。
武豊騎手の言う「馬場」の影響もあるかもだが、「レース前から入れ込み気味」、「折り合いがつかず終始力んで走った」ことに加え、今年に入ってから「AJCC」→「阪神大賞典」→「天皇賞・春」の臨戦過程を経ての4戦目。
少し使い過ぎの印象もあり、そもそも調子面で良くなかった可能性も否定できない。
この馬の買い時は非常に難しいが、現状「パドック」で良いときは、好走している率が高いように思える。
筆者個人としては、菊花賞でコントレイルに迫った、あの脚が忘れられない…。
この馬が輝きを取り戻すことを、ファンとして願っている。