追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は15頭。追い切り動画で確認できた14頭に評価を付け高評価としたのは4頭。うち、2頭が馬券内に絡むもともに人気馬。人気馬のランドオブリバティをマイナス評価とし馬券外に飛んでくれた点は良かったが、馬券に絡んだ人気薄のアサマノイタズラを【B-】としており、あまり自慢できる結果ではなかったか。
このレース、追い切り評価から馬券を買って旨味があったと思うのは、ヴィクティファルスの単勝。
唯一【A】評価としたロードトゥフェイムは8着に沈んだ。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | ヴィクティファルス | B+ | 3 |
2 | アサマノイタズラ | B- | 7 |
3 | ボーデン | B+ | 1 |
4 | イルーシヴパンサー | B | 8 |
5 | ヴェイルネビュラ | B | 5 |
6 | ワールドリバイバル | B | 10 |
7 | ランドオブリバティ | B- | 2 |
8 | ロードトゥフェイム | A | 4 |
9 | セルジュ | B- | 15 |
10 | アールバロン | - | 11 |
11 | ビソンテノブファロ | B+ | 14 |
12 | オンザライン | C | 13 |
13 | レインフロムヘヴン | C | 6 |
14 | ニシノオイカゼ | B | 12 |
15 | ヴィゴーレ | B | 9 |
レース回顧
勝ち時計1:52.0秒は遅い。
この日の中山は朝から雨が降っており、「強風」という特殊な状況ではあったため過去との比較はしづらい。ただ、同日の同舞台で行われた中山9R(スピカS)の勝ち時計1:51.1秒よりも0.9秒遅いことから遅いと判断できる。
なぜなら過去10年でスプリングSの勝ち時計がスピカSよりも遅い年は1度もなく、スプリングSの方が早いのが過去の傾向だからである。
過去10年では、明らかにスプリングS>スピカSとなっていました。(中央値で0.6秒スプリングSの方が早かったです。)
今年のスピカSの勝ち馬ミスニューヨークが強かった強かった可能性もあるが、このスピカSの過去の勝ち馬には、モーリス(2015年)、ブラックムーン(2016年)、ワンブレスアウェイ(2017年)、エアアンセム(2018年)、アーバンキッド(2019年)などもおり、ミスニューヨークを特別扱いする必要はなさそう。
今年のスプリングSは、やはり遅いと言えよう。
ペースは、前半600mが37.2秒、後半600mが37.0秒。前後半差の少ないミドルペースでレースが行われた。
最初の1000m通過は1:02.5秒。
このペースを作ったのは、ワールドリバイバル(菱田)であった。
パドック
この日もリアルタイムにパドックを見れず、後追いでパドックを確認したが、勝ったヴィクティファルスはバランスの良い好馬体で力強く集中した周回。2着だったアサマノイタズラは頭をダラっと下げ、パドックの内目をしょぼしょぼとした周回。この馬をパドックから拾える自信はない。3着ボーデンはトモの踏み込みに力強さはあったものの、活気としては可もなく不可もなくで、Twitterの文字数を考えると恐らく名前を挙げれなかっただろう。
ヴィクティファルス以外で、パドックで良く見えたのは、ロードトゥフェイム(8着)。リズミカルに力強く歩けており好印象。レインフロムヘヴン(13着)も柔らかで名前をあげていたと思う。
1着 ヴィクティファルスについて
外枠から無理に出たなりに進め、2角回った向こう正面では中団の外。8番手。
このレースも土曜日のフラワーC同様、向こう正面~3角に差し掛かるあたりの残り1000mあたりから早めにペースが速くなる。そのため、この馬は向こう正面では少しポジションを下げるも、これは他馬の早仕掛けについていかなかっただけ。
池添騎手の好判断であった。
4角手前でロードトゥフェイムにブロックされ後手を踏む形にも見えたが、仕掛けを遅らせることができた訳で結果的に良かったのかも知れない。
最後の直線は大外(内ラチから10頭分離れたところ)を回し、進路を確保した残り250~260mあたりでの先頭との差は6馬身。2着馬アサマノイタズラも4馬身前にいる状態であった。
ここから他馬との脚色がまったく異なる上り最速(36.1秒)の脚で、前にいた8頭をまとめて差し切り、2着アサマノイタズラにアタマ差付けての勝利。見事、ダービーまでつながるクラシックへの出走権を獲得した。
特殊な馬場と風であったため、評価は難しいとは思うが、「追い切りでの動き」や「今回のレース内容」から、筆者は皐月賞でも十分闘える能力があると考える。
自身のブログで共同通信杯の回顧を振り返ってみたが、「勝ったエフフォーリアとの能力差はない」と述べていた。皐月賞ではエフフォーリアはかなり人気するものと思われる。この馬とのオッズ差がどの程度になるかは注目しておきたい。
2着 アサマノイタズラについて
驚いたのがこの馬。追い切り評価では、以下のように評していた。
馬格のある馬で序盤の動きは良かったが、直線半ばで右手前に替わってからの走りが課題。アタマが高くなり推進力を上に逃がすフォームとなっている。手前を替えなければ先着していたと思うが、右手前に替わったことで動きが悪くなりクビ差遅れ。評価しづらい。
jamieの追い切り一閃 ~《2021》スプリングS【最終追い切り】調教~ アサマノイタズラより
3~4角の途中から人気のランドオブリバティに馬体を併せに行き競りかけるカタチで真っ向勝負。直線で人気2頭のランドオブリバティ、ボーデンを競り落とし抜け出しを図るも、ヴィクティファルスの強襲に合い惜しい2着(アタマ差)。
ランドオブリバティ、ボーデンを真っ向勝負で競り落としたことにも驚いたが、さらに驚いたのがその後。
後ろからもの凄い勢いで上がってきたヴィクティファルスの気配を感じると、勝負根性を見せ、この馬も伸び返したところ。
勢い的には完全にヴィクティファルスであり、実況アナウンサーも「ヴィクティファルスが一気に差し切りました。」と断言してしまうほど…。ただゴール前でアサマノイタズラが予想外の勝負根性を見せたため、実況アナウンサーもその直後は、「ヴィクティファルス僅かに制してゴールイン。」と述べていた。
今回のような馬場が得意であった可能性は高いが、中山適正が高そうな馬で、このレースにおいてはランドオブリバティ、ボーデンより強い競馬をした点は事実。
皐月賞での追い切りに注目したい。密かに内枠ひくなら面白いのではと思っている。
3着 ボーデンについて
3着までが優先出走権を得られる本レースにおいて、川田騎手は最低限の仕事をしていた。今回のレースでは上位2頭とは大きく見劣る内容で皐月賞本番では人気を落とすことが想定される。
ただ、本馬は追い切りの動きやパドックから、能力ある馬に思え、人気が無いようなら面白いのではとも考える。
いずれにせよ、筆者は追い切りで判断するため、最終判断は「最終追い切り」を見てからとしたい。