追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は13頭。追い切り動画で確認できた12頭に評価を付け高評価としたのは4頭。【A】評価馬が1着となり、人気薄の【B+】評価馬が3着。2着もマイナス評価馬ではなく、このレースについては参考になった人がいたかも知れない。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | ディープボンド | A | 3 |
2 | ユーキャンスマイル | B | 2 |
3 | ナムラドノヴァン | B+ | 9 |
4 | シロニイ | C | 12 |
5 | ダンスティライト | B- | 5 |
6 | メイショウテンゲン | B | 7 |
7 | アリストテレス | B+ | 1 |
8 | タイセイトレイル | C | 6 |
9 | アドマイヤジャスタ | B- | 10 |
10 | ショウリュウイクゾ | A | 4 |
11 | タイセイモナーク | B+ | 11 |
12 | ツーエムアロンソ | - | 13 |
13 | ゴースト | B | 止 |
レース回顧
勝ち時計3:07.3秒は、長距離戦であること、過去に重馬場での施行が1度もないことから何とも言えない。
ペースは、前半1000mが1:02.4秒、後半1000mが1:01.7秒。前後半差の少ないミドルペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、ツーエムアロンソ(松田大作)であった。
パドック
この日はリアルタイムにパドックを見れず、後追いでパドックを確認。
ディープボンドは少し入れ込んでいるようにも見えたが、上から叩きつけるような力強い踏み込み。ユーキャンスマイルは落ち着いて力強い周回。筋肉の隆起が目立った。ナムラドノヴァンは上記2頭に比べると馬体の迫力に欠けるものの、キビキビと周回できており調子は良さそうに見えた。
断然人気のアリストテレスは毛艶はよく見えたものの、股下に発汗が見られ本調子でなかったのかもしれない。
展開
各馬揃ったスタート。押してツーエムアロンソがハナへ。
2周目の向こう正面
逃げるツーエムアロンソに、シロニイ、タイセイモナークが差を空けず2、3番手でピタリと追走。
ディープボンドは、前の3頭から3馬身後ろ、少し間隔を取ったカタチの4番手を追走する。
ディープボンドの側にはメイショウテンゲン、ショウリュウイクゾ、アリストテレスなど。
ユーキャンスマイルは後方2番手。ナムラドノヴァンは最後方であった。
1着 ディープボンドについて
好スタートから、序盤は好位4番手。残り1200mあたりからペースがグンと上がるも楽々と追走。3角と4角の中間地点で各馬が必死に馬を追って前を追走する中、1頭馬なりで前に捕らえに行くあたり能力の違いを感じさせる内容。
直線でも後続を寄せ付けず、5馬身差を付けての大勝。
3歳時「神戸新聞杯」の時から追い切りの動きをみてきたが、その時から追い切りの動きから能力の高さを感じていた馬。「菊花賞」、「中山金杯」とともに高い評価をしてきたと思うが、ここ「阪神大賞典」でも【A】評価。
信じ続けてきた甲斐があった。
次走は恐らく天皇賞・春か。このパフォーマンスを見せられては、次走は同じようなオッズでこの馬の単勝は買えないかも知れない。
いつも良い追い切りをみせてくれる馬。次走の追い切りでも良い動きをみせてくれることを楽しみにしておきたい。
2着 ユーキャンスマイルについて
2周目の向こう正面で、先頭が残り1000m地点を通過した時点で、先頭との差はおよそ12馬身。ディープボンドとの差はおよそ7馬身であった。本格的に追い出しを開始したのは残り600m地点から。ここから上り最速タイとなる36.8秒の脚を使うも、7馬身前を行くディープボンドに上り3F時計36.9秒を使われては届くはずもなく、5馬身差を付けられての完敗。2着に終わった。
この日は競馬を見ていなかったため、本記事を書く際に気づいたのだが、本馬は武豊騎手から藤岡祐騎手に乗り替わっていた。武豊騎手が騎乗していても同じ騎乗をしただろうか。決して今回の藤岡祐騎手の騎乗が悪いとは思わないが、前が潰れることを前提としたやや着狙いの騎乗にも見えた。
「長距離戦では騎手が大事」というのはよく聞く格言の一つだ。
3着 ナムラドノヴァンについて
道中は最後方からの競馬。ユーキャンスマイルとは終始同じような位置におり、上がっていくタイミングも同じ。上り3F時計も同じという競馬。
このレースは上り3F時計の上位3位は、ユーキャンスマイル(36.8秒)、ナムラドノヴァン(36.8秒)、ディープボンド(36.9秒)であったが、上り3F時計4位は、ダンスディライト(37.8秒)。上位3頭とは1秒近く離れており、上位3頭の末脚がいかに優れていたかが分かる。
この上り3F時計を見ると、何度やってもこの3頭で決着がついてしまいそう。そう思える時計であり、実際の着差もそのようなカタチとなっていた。
そう考えると、この馬は過小評価されていた馬の1頭ということになる。今回は9番人気で単勝オッズ42.2倍。何と複勝で25.9倍もついたのだが、これはこの馬の実力を考えると望外なオッズだったと言えよう。
今回、この馬を【B+】評価とすることができ、筆者自身、美味しい馬券をGETすることができた。追い切りパワーを少しは見せることができて良かったと思えるこの馬の激走であった。
きっと次走以降は人気するだろう。
その他、高評価馬について
7着 アリストテレスについて
パドックでも発汗しており、レースでもスタート直後から行きたがっており、最初の400mはルメールが懸命に押さえる仕草。スタンド前では落ち着いたようにも見えたが、周りがリラックスして走っている中、1頭力んで走っているようにも見えた。
2周目の向こう正面(残り1200m)あたりからグンとペースアップしたが、これについて行くのがやっと。最後の直線では完全に脚があがっていた。
敗因は入れ込み。長距離路線で今後の活躍を狙うこの馬にとって、これは大きな課題だろう。
菊花賞であのコントレイルに迫る脚を見せた能力は本物で、年明け初戦、古馬との初対戦となるAJCCでも勝利しており断然人気になるのも無理はないとは思うが、競馬に絶対はない。まして今回のレースで大きな課題が見つかった。
天皇賞・春ではどんな競馬をみせてくれるか。楽しみに待ちたい。