追い切り評価の結果はいかに?
シンザン記念は良く見えた馬が多かったみたいだね。
うん、とても多かったよ。でも何とか絞って出走馬17頭中、5頭を高評価。うち2頭が馬券内。今回は参考になった人がいたかも知れない。
Twitterでは、今の中京馬場と枠順を重視し、ルークズネストを本命予定とつぶやいてたよね。
良く見てたね。ルークズネストとパドックで一番良く見えたピクシーナイトとの馬連が万馬券だったのは美味しかったよ♪
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | ピクシーナイト | A | 4 |
2 | ルークズネスト | B+ | 8 |
3 | バスラットレオン | B | 2 |
4 | ククナ | A | 1 |
5 | セラフィナイト | B- | 9 |
6 | ブルーシンフォニー | B- | 10 |
7 | マリアエレーナ | - | 11 |
8 | ワザモノ | B- | 13 |
9 | ルース | B | 14 |
10 | レゾンドゥスリール | B- | 5 |
11 | ダディーズビビッド | C | 7 |
12 | トーカイキング | - | 15 |
13 | ファルヴォーレ | A | 12 |
14 | カスティーリャ | B | 6 |
15 | ロードマックス | B+ | 3 |
レース回顧
勝ち時計1:33.3秒。今週火曜日に同じ舞台で行われた京都金杯の勝ち時計1:33.1秒であったことを考えると、かなり優秀な時計ではないだろうか。
過去10年における「京都金杯」と「シンザン記念」との平均勝ち時計を比較すると以下のとおり、京都金杯の方が1.9秒早い。
レース名 | 過去10年の平均勝ち時計 |
---|---|
京都金杯 | 1:33.4秒 |
シンザン記念 | 1:35.3秒 |
ペースは、前半800mが46.3秒、後半800mが47.0秒。前後半差のラップが1.0秒以内のミドルペースでレースが行われた。
参考:京都金杯のレースラップ
前半800mが46.9秒、後半800mが46.2秒のミドルペース。
このペースを作ったのは、ピクシーナイト(福永)であった。
パドック
パドックでは、追い切り評価でも【A】評価とした3頭がよく見えた。最上位評価はピクシーナイト。以下のようにtweetしていた。
追い切り評価はマイナス評価もパドックから拾ったのはセラフィナイト(9人気)。実際5着と掲示板に乗ってきた。
ポイント
ピクシーナイトが好スタートから逃げて、そのまま後続に影を踏ませることなく逃げ切り勝ち。
レースラップは、全てこの馬が刻んだラップ。
12.5–10.9–11.3–11.6–11.8–11.6–11.6–12.0
スタートとラスト1Fを除き、すべての区間で11秒台のラップを刻んだこととなる。コースの形状は違えど、過去10年のシンザン記念で2F目~7F目をすべて11秒台で走り切った馬はいない。この年齢でこのラップで走破しきっている辺り、相当な能力の持ち主なのかも知れない。
福永騎手の勝利ジョッキーインタビューが印象的だったので、筆者による要約文を以下に記載しておく。
- 前回スタートの駐立が悪かったので陣営がそこを修正してくれ、好スタートを切れたのが大きかった。
- G1を勝てる能力を持っている馬という認識はあった。次のレースでどの距離のG1が狙えるかが分かると思う。
G1というキーワードを何度も使い、この馬の能力を表現していたことが印象的だった。
1着 ピクシーナイトについて
まず枠順が良かった。12番は偶数番で後入れ。加えて11番と12番の間がゲートの連結部となっており、1頭分ほど内にスペースがある状態でのスタートであったことに加え、11番レゾンドュスリールが立ち遅れ。他馬と接触することなく綺麗なスタートを切れたことがまず大きかった。
好スタートを決めてからは、淀みない流れを自ら作り出し、後続の脚を封じる強い競馬。先にも記載したが、終始11秒台の早いラップを刻み駆け続け、ラスト1Fを12.0秒台で纏められては後続は追い上げようがない。
この馬の上り3F時計は35.2秒であり、2着ルークズネストの上り3F時計は34.8秒。0.6秒差。ラスト3F地点でこの2頭の距離は4馬身半(0.9秒差)あり、ルークズネストが34.5秒以下で走るか(もう0.3秒以上早く走るか)、ピクシーナイトがラスト1Fで12.3秒以下に落ち込んでくれる(もう0.3秒遅く走るか)しかなかった。
レース映像を見ても分かるが走るフォームが綺麗な馬。
536㎏の雄大な馬体をスピードに乗せて走る姿は、他馬とは1線を画し、風格を醸し出していた。
ただ本馬にも課題はある。最後の直線で真っ直ぐに走れなかった点だ。何度も内にささっていた。福永騎手が手綱とムチで上手くコントロールし、何とか走り切らせたものの、真っ直ぐ走れるようになると更に強さが増すだろう。
本馬は、前走の秋明菊賞では大きな出遅れ。枠順にも恵まれたとは思うが今回は見事にスタートが改善されていた。
これは陣営およびこの馬に携わるすべてのスタッフの努力が実を結んだもの。走るのは馬だけではない。
本馬はこの後、クラシックの王道路線を進むのか、マイル路線を進むのか、陣営の選択に注目したい。
2着 ルークズネストについて
2枠3番の好枠からのスタートも、スタートで後手を踏んでしまう。
最初のコーナー手前で、馬が前を追いかけようとしたため、鞍上の幸が手綱を引き抑えたため折り合いを欠いてしまう。
向こう正面でも少し行きたがるシーンがあったが、上手になだめつつ、最後の直線で外に出せるよう上手くポジションをとっていた。
4角でスムーズに外に出し、手前を替えて上り3F時計3位となる34.8秒の脚で前を走るピクシーナイトを追うも、1馬身1/4差届かずの2着に終わった。
追い切り評価で、以下のように評した馬。
クビの角度が良く、大きなフットワークで滞空時間の長い走り。手前の切替もスムーズで両方の手前でダイナミックな走りができている。兎に角スケールの大きさを感じる走り。
実際に最後の直線の走りも、他馬とは見た目に異なるスケールの大きな走りを見せていた。
本馬の過去のレースを振り返らなければ、なぜこのような低人気となっていたかは紐解けない(筆者は時間の都合上、これは省略する)が、能力とオッズの乖離が大きかった馬の1頭であった。
本馬のように、追い切りから走りの質を確認できることもある。読者のみなさまにもぜひ追い切り動画を確認することをお勧めしたい。
勝ったピクシーナイトもだが、本馬もまた「モーリス産駒」の「ノーザンF生産馬」。良い馬を生産する。
本馬の収得賞金は、今回獲得した750万円を加え1150万円となったが、これではまだクラシックへの出走は心もとない。
どこかのトライアルを使ってくることになるだろう。走法から広いコースで走らせた方が良さそうな馬。距離については伸びても問題なさそう。この馬の次走にも注目したい。
3着 バスラットレオンについて
ペースを握る馬の1頭と目されていた馬であったが、スタートの数完歩だけで外のピクシーナイトに、1馬身近く前に出られてしまう。
その後は押して押して番手を主張。
終始ピクシーナイトを1馬身~1馬身半追走するも、4角を回り直線向いた時点で並び掛けることすらできず、坂下の加速で2馬身差に広げられてしまう。
ピクシーナイトが坂下で見せたギアチェンジ性能が、本馬にはなかった。
その後の脚色は、ピクシーナイトと同じ。2馬身差を縮めることができないまま、最後にルークズネストに半馬身交わされての3着。
新馬勝ち以降、重賞戦線で善戦してきたが収得賞金を獲得できておらず、ここは勝利、最低でも2着を確保し、何とか収得賞金を獲得しておきたかった馬の1頭であったが、今回も3着。今後は自己条件に回ることが想定される。
タフなレースの経験が豊富な馬。この経験を活かしてまた重賞戦線に戻ってきて欲しい。
その他、高評価馬について
13着 ファルヴォーレについて
スタートは普通も、二の脚を使いスッと先団の後ろに取りつく脚はもっていた。
最初のコーナーでダディーズビビッドとワザモノとの間で狭くなり、向こう正面では少し折り合いを欠いていただろうか。鞍上が腰を上げ気味に手綱を引ているシーンが印象的であった。
向こう正面でも自身の進路に他馬が入ってきたりと、終始ストレスを抱えた状態での走り。
終始外目で2着馬ルークズネストと同じような位置を走り、4角~最後の直線では内にいたルークズネストに進路を譲り馬体を並べての併せ馬。一緒に併せ馬で伸びてきて欲しかったが、見場なくバテて13着に終わった。
今回は終始ストレスがかかっている状態での競馬。また終始外目を追走し、最後の直線ではもう脚はなかった。
追い切りは良い動きをしており、上記敗因がクリアされれば、どこかで穴をあけてくれそう。注目しておきたい。
15着 ロードマックスについて
岩田望騎手の初重賞制覇となるか!人気馬の1頭に乗ることとなったが、積極的にポジションを取り、勝ちに行っての敗戦(最下位)。最後の直線では舌をだして走っておりバテていた。また坂もヨレながら駆け上がっていた。
最序盤から脚を使う展開では、マイルの距離が持たないことを露呈する形となった。
ピッチ走法で走る馬、本質的にはもう少し短い距離の小回りコースの方が走法的に合うのではと考える。