追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は14頭。追い切り動画で確認できた全馬に評価を付け高評価としたのは5頭。
軒並み下位に沈み、まったく参考にならない結果となってしまった。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | アサマノイタズラ | B- | 9 |
2 | ソーヴァリアント | B | 2 |
3 | オーソクレース | B- | 5 |
4 | カレンルシェルブル | B- | 11 |
5 | ヴィクティファルス | B | 7 |
6 | ベルウッドエオ | C | 14 |
7 | ルペルカーリア | B+ | 4 |
8 | レッドヴェロシティ | B- | 6 |
9 | グラティアス | B | 3 |
10 | ノースブリッジ | B+ | 8 |
11 | ワールドリバイバル | A | 13 |
12 | レインフロムヘヴン | C | 12 |
13 | タイトルホルダー | A | 1 |
14 | タイムトゥヘヴン | B+ | 10 |
レース回顧
勝ち時計2:12.3秒はやや早い。過去10年で3番目に早く、中山競馬場の良馬場で行われた過去10年の平均勝ち時計となる2:13.3秒より1秒も早い。十分早いと言えよう。
ペースは、前半1000mが1:00.5秒、後半1000mが59.6秒。後半の方が0.9秒早かったものの、中山2200mにおける最初の600mは高低差およそ5mの上り。実質はかなりタフな淀みのないペースでレースであった。
このペースを作ったのは、ワールドリバイバル(津村)であった。
パドック
パドックでは、ルペルカーリアが良く見えた。少し気合乗りが良すぎるようにも思えたが、迷いなく「この馬から行こう!」そう思えるパドックであった。筆者はこの馬を本命としたことに後悔はなく、寧ろ「あー、パドックを見れて良かったな。これで悔いはない。」と嬉しかった。ワールドリバイバルは胴長の馬体で長めの距離は合いそうだったが、ゼッケン下に少し発汗あり。ノースブリッジは最後尾で良く言えば気合乗り十分に見えたが、よくよく見ると少し入れ込み気味だっただろうか。優勝馬アサマノイタズラは腹袋をふっくら見せていたものの、汗が腹から滴り落ちており目立たず。2着ソーヴァリアントは510㎏のパワフルな馬体でありながら軽やかにステップを踏みながらの周回で、チグハグな印象を受けた。3着オーソクレースは二人引きではあったが、元気がなく映った。
この日の馬場状況
3日開催の最終日。金曜日の夜から土曜日の昼過ぎまでかなりの降雨量。土曜日は田んぼ馬場の中、レースが行われた。
日曜日は一転、カラッと晴れたものの水分を含む、やや重たい馬場状況。
そして月曜日。この日も気持ちよい秋晴れ。この日の芝のレースを見ていると、馬場はかなり回復していたと言う見立てではあるが、中山3、中山10の芝レースを見る限り、気持ち重ための馬場(芝)状況であっただろうか。
タフなレースラップ
今年のセントライト記念は、道中一度も12.5秒以上のラップが刻まれることのないタフなレース。先行各馬は、テンからまったく息の入らないペースとなってしまった。
こうなった理由は、いくつかある。一つは大外枠をひいたワールドリバイバル。この馬が最初のコーナー(3F目)で、各馬が緩むところを緩めずハナを奪いにいったこと。
ワールドリバイバルは、一度は4番手で落ち着くも、テン3Fは例年に比べて早くなく、「このまま外を回らされる位なら」と、コーナーを利用してハナを奪いに行った。この判断は、津村騎手の好判断だったと考える。
ここまでの動きだけであれば、例年のセントライト記念でもよくある光景。
例年は奥深い2角(5F目)あたりで、一度12秒後半~13秒台のラップが刻まれ息が入る。
精神面での成長が望まれるルペルカーリア
ただ、今年は違った。ルペルカーリアだ。スタートでソーヴァリアントに馬体をぶつけられたまでは落ち着いて走れていたが、1角手前で外から来たワールドリバイバルに「スッ」と前に入られ、スイッチが入ったか…。
1角(3F目)から大きく外を回りながら、奥深い2角(5F目)まで、かかり気味にあがっていく。
ペースが落ち着く2角近辺で、ルペルカーリアが、逃げるワールドリバイバルに競りかけたことで、息の入らないタフな流れに。
ここは意見が分かれるかもだが、筆者は、ルペルカーリアが決して入れ込んでいたとは思っていない。この馬は「外から前に入られるとカッとなる性格」なのだろう。前走京都新聞杯でもその傾向が見て取れた。これは覚えておきたい。
ルペルカーリアは、追い切りをみる限り「キレ味」感じる馬。筆者としては是非「末脚を活かす競馬」をと思うのだが、性格的にこの競馬ができないことが、とても残念だ。仮にこの馬が、折り合い抜群で、ソーヴァリアントのポジションを取れていたら…。競馬にタラレバはないのだが、優勝していたのではないだろうか。筆者の本命馬で贔屓目も入っているかもだが、そう思う。
今後の精神面の成長に期待したい。
優勝したアサマノイタズラについて
トライアルレース。有力各馬が権利取りに向け意識が前に向くことを前提に、「差し」に振る手も戦略の一つ。
田辺騎手が、ここまで考えていたかは分からないが、最後の末脚に賭け、先行集団の早いペースラップに付き合わず、序盤~中盤は「馬のリズム」を大事に走らせたことが功を奏した。
今回は展開に恵まれたとは言え、今回のようなタフなレースラップに強い馬であることは覚えておきたい。
また、今回のレースは、ラップの上下が少なく、イメージ的には「タフなマラソンレース」。2019年にこのレースを制したリオンリオンが踏んだレースラップに近い。こういうマラソンレースで最初をゆったりと入り、後からジワジワ追い上げるタイプは、距離延長歓迎の「スタミナ豊富な馬」という印象がある。ただこれはあくまで筆者の感覚である。
田辺騎手の勝利ジョッキーインタビューからも、今回のデキは8割程度だったのだろう。本番での上積みは期待できるも、近年の菊花賞はスローからの上り勝負が多い。展開面でどうだろうか。追い切りに加え、展開面も検討したい。
最も強かったソーヴァリアント
外枠発走も、テンから出して行き「スッ」と好位のINポジションを確保する。見事の一言。
前に苦しい展開を、好位追走。4角では外を回し、早め先頭で抜け出す横綱競馬。最後はアサマノイタズラにクビ差交わされてしまったものの、3着以下は2馬身近く千切っており抜けて強かった。
また、戸崎騎手もとても上手く乗っていた。道中でルペルカーリアの捲りを見ておさえた点や、外を意識した早めの進路取りも素晴らしかった。
勝ったアサマノイタズラより高い評価をしているのだが、アサマノイタズラに最後差されたのも事実。このマラソンレースがこの馬の得意とするペースラップではない可能性がある。
今回の追い切りからは、この馬の持つ能力を正しく評価することができなかった。菊花賞の追い切りでどのような動きを見せてくれるか…。楽しみにしたい。
菊花賞最注目馬:ソーヴァリアント
その他の馬たちについて
ここからは、筆者時間の関係上、サラサラと思ったことを。
3着オーソクレースは、久々の1戦で、追い切りとパドックからは、状態はそれほど良く見えず、ここは叩きの1戦であった可能性は高い。それでも地力を見せての3着。こういう馬が本番ではかなり怖い。要注意の1頭だ。
地味に強さを見せたのが、4着カレンルシェルブル。アサマノイタズラと似たような競馬で、勝ち馬ほどキレはしなかったが、2勝クラスなら勝ち負けしてきそう。ただ馬柱の綺麗な馬。次走もそこそこ人気はしそうであり、一度凡走した後が狙い目かも知れない。弱くはない馬として覚えておきたい。
5着ヴィクティファルスも菊花賞では面白いと思う1頭。中団を進み、最後の直線で前が開くことを願って、馬群に突っ込むも前が開かず。まともに追えたのは最後の200mだけ。重賞を勝っており賞金的には問題なさそう。菊花賞では最も馬券妙味のある馬のように思える。追い切りも良く見せてくれる馬。本番でも注目したい。
菊花賞注目馬:ヴィクティファルス
イン前で沈んだ馬たち
最後にタイトルどおり、イン前で沈んだ馬たちについて。
パトロールビデオを見れば一目瞭然なのだが、13着タイトルホルダーと14着タイムトゥヘヴンは、最後の直線で前が壁となり全く追えていない。追って伸びたかは、最後まで追わなかったので分からないが、次走人気落ち必至。馬券妙味は先述したヴィクティファルスの方にありそうだが、妙味のある1頭として覚えておきたい。
菊花賞注目馬:タイトルホルダー
また、タイムトゥヘヴンは、このメンバーの中ではテンの脚があった方で好位のINを確保するも、1角手前で煩い仕草を見せポジションを落としてしまう。前向きな気性から距離はもう少し短めでも良いかも知れない。今回は追い切りの動きもよく、パドック気配も良かった1頭。今回の結果で次走の人気はガタ落ちだろう。次走かなり面白い馬として挙げておきたい。
次走注目馬:タイムトゥヘヴン
もっとも残念だったのが9着に敗れたグラティアス。この馬も前目に付けた馬の1頭であったが、最後の直線でヨレて、多くの馬(イン前にいた5頭)に迷惑をかけてしまうことに。この馬の斜行がなければ、もしかしたらタイトルホルダー、ノースブリッジあたりは馬券内が可能性があったかも知れないだけに影響は大きい。最後はフォームも乱れていた。今回はラップ適正が合わなかったのかも知れないし、距離が合わなかったのかも知れない。今後の取捨が難しい馬となった印象だ。
最後にワールドリバイバルについて
追い切りが素晴らしく「成長している」と評価した馬。今回のレースは大外枠から、津村騎手の好判断で果敢にハナを切ったまでは良かったが、その後ルペルカーリアに絡まれたのが痛かった。これがなければ…。次走人気を落としそうな1頭であり、個人的には再び狙ってみたい。
次走注目馬:ワールドリバイバル