《2026》弥生賞ディープインパクト記念【評価結果】レース回顧 ~急→緩→急の中で問われた、持続力と立ち回り~

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追い切り評価結果

(1〜3着は)【B-】→【B】→【B+】。
1〜3番人気がそのまま1〜3着を占めており、上位人気馬が能力上位という戦前の見立て自体は、大きく外れていませんでした。ポイントは、その中で何を最上位に取るか。その一点だったように思います。

唯一【A】評価を打ったメイショウソラリスは10着。結果としては大きな誤算で、参考にしてくださった方には申し訳ない回となりました。ただ、追い切りの動き、さらに当日のパドックまで含めれば、個人的に評価そのものへ後悔はありません。今回は、その見立てが着順へ結び付かなかった形です。

一方で、勝ち馬パステールを【B-】にとどめた点は、はっきり課題でしょう。川田騎手騎乗を踏まえて評価を据え置く選択肢もありましたが、今回は内容面を優先してメリハリをつけました。とはいえ、こうした能力馬を追い切り段階でしっかり拾い上げることこそ、本来求めたい精度でもあります。

上位争いの輪郭は捉えつつ、最上位評価の置き方で外した回。今回はその一言に尽きます。だからこそ、序列付けの精度はさらに磨いていきたいところです。

着順馬名評価人気
1パステールB-3
2ライヒスアドラーB2
3アドマイヤクワッズB+1
4タイダルロックB-4
5モウエエデショーB-10
6コスモギガンティア9
7ステラスペースB-5
8バリオスB6
9アメテュストスB-7
10メイショウソラリスA8

パドック

パドックでは上位人気馬は総じてよく映りました。追い切り【A】評価としたメイショウソラリスも素晴らしいデキで、馬券妙味まで含めれば、この馬を最上位に取った判断に悔いはありません。メイショウソラリスを除けば1〜4着馬は拾えており、パドックで見えた能力上位馬の輪郭自体は、大きく外していなかったように思います。

レース回顧

勝ち時計とペース

勝ち時計 2:00.2 は、過去10年(2016〜2025)のうち良馬場開催7回の勝ち時計平均 2:01.0、中央値 2:00.5 と比べると、0.3〜0.8秒ほど速い 水準です。もっとも、平均値を押し上げているのは 2017年 2:03.2 と 2021年 2:02.0 あたりで、中央値との比較ではそこまで抜けた速さではありません。時計評価としては “普通” が妥当でしょう。

レースラップは 、前半5F 60.4秒、後半5F 59.8秒 で、後半が 0.6秒 速い形です。ペース判定は ミドルペース で良いでしょう。2F目に 11.0秒 が入り、一見すると流れているようにも映りますが、その後は 12.3→12.7→12.2 と一度しっかり息が入っています。そこから直線へ向けて 12.0→11.9→12.2→11.9→11.8 とじわじわ脚を使う形で、極端な消耗戦ではありません。かといって、完全な瞬発力勝負とも少し違います。メイショウソラリス(角田大)が作ったのは、道中でひと呼吸を入れつつ、最後は持続力を問うミドルペース。今年の弥生賞は、そう見るのが自然です。

回顧

今年の弥生賞は、ラップを見れば流れの輪郭がはっきりしています。
急→緩→急。 しかも最後は一瞬のキレだけではなく、長く脚を使えるかどうかが問われる一戦でした。

スタート直後、まずレースを動かしたのは内の2頭です。
ステラスペース、そしてメイショウソラリス。内枠の利を生かすように一気に出していき、最初の坂を駆け上がっていきます。テンの2Fはかなり速く、ここで前に行った馬たちは、すでにひと仕事終えたような入りでした。

ただ、このレースはそのまま流れ切ったわけではありません。
序盤で一度速くなったあと、道中ではしっかり息が入る。そこで各馬が折り合いを探り、我慢を強いられます。けれど、ようやく息が入ったと思ったところで、今度は再びペースが上がる。だから今年の弥生賞は、ただの前傾ラップの消耗戦ではありません。序盤で脚を使わされ、道中で我慢し、最後はもう一度脚を問われる。 そんな、なかなか厄介なレースでした。

その意味で、最も苦しかったのはやはりテンで脚を使った組でしょう。
メイショウソラリス、ステラスペースは、まさにその流れを正面から受ける形。前に行くために脚を使い、道中で息を入れながらも、最後はもう一度踏ん張らなければならない。見た目以上に厳しい競馬だったはずです。

では、いちばんラクな展開になったのは後方の馬たちだったのか。
大枠では、その理解で良いと思います。少なくとも、前半で脚を使わず、道中で無理なく折り合えた組 に向いたレースでした。ただし、「後ろにいればそれだけで良かった」とまでは言い切れません。後ろにいても、折り合いを欠けば脚は溜まりませんし、仕掛けどころを間違えれば届かない。だから、ただ位置が後ろだったことよりも、そこでいかに無理なく運べたか が大きかったように思います。

その視点で見ると、3着アドマイヤクワッズの内容はかなり濃いです。
この馬は序盤の速い流れを積極的に3番手で追走。前に行った2頭を見る位置で運びながら、道中では行かせ過ぎないよう我慢させていました。見た目にも少なからずロスはあります。前が一度緩んだところで、馬がハミを取りすぎないよう抑え込みながら、なお勝ちに行く競馬をしているからです。展開だけを考えれば、もっと後ろにいた馬のほうが楽だったはず。それでも最後までしぶとく脚を使い、勝ち負け圏に踏みとどまったのですから、この3着は着順以上に価値があります。

2着ライヒスアドラーもまた、強い競馬でした。
こちらはアドマイヤクワッズの後ろ、あるいはそれを射程に入れる形。前を走るアドマイヤクワッズをマークしながら進み、最後の追い比べでは抜きつ抜かれつの形に持ち込みます。追走中の集中力は万全とは言えず、決してロスの少ない走りではありませんでした。それでも最後は完歩の大きさを生かすように、じわりと前へ出る。決着はハナ差でしたが、内容は際どく、見応え十分でした。アドマイヤクワッズが先に苦しみ、それをライヒスアドラーが差し返す。この2頭は、ともに強さを見せたと言ってよいでしょう。

そして、その好位勢の追い比べを、外から一気にねじ伏せたのが勝ち馬バステールでした。
後方で無理なく折り合い、直線勝負に徹する形。流れとしては、たしかにこの馬に向きました。ただ、それだけで片付けるのも違う気がします。なぜなら、最後の坂を上がる局面で、川田騎手の檄にしっかり応え、もうひと脚を使っているからです。前が苦しくなったところを差した、というより、前が苦しい流れの中で、自分はきっちり脚を残し、その脚を最後まで使い切った。そんな勝ち方でした。後方待機の利を最大限に生かしたのは確かですが、その利を勝利に変える脚力がなければ、外からまとめて差し切ることはできません。

4着タイダルロックも、内容は悪くありません。
直線ではアドマイヤクワッズとライヒスアドラーの間を突く形になり、最後まで十分に追い切れなかった印象があります。それでも脚色そのものは大きく鈍っておらず、最後までしっかり脚を使っています。権利には届きませんでしたが、着順以上に中身のある4着。今回の上位勢と比べても見劣る内容ではなく、次走で人気を落とすようなら、十分狙い目になる一頭でしょう。

こうして振り返ると、今年の弥生賞は単純に「後ろ有利」で片付けるには惜しいレースです。
たしかに、前半で脚を使わず、後方で無理なく運べた馬が有利だったのは間違いありません。ただ、その中でバステールはきっちり勝ち切り、アドマイヤクワッズは前で受けながら内容を作り、ライヒスアドラーはその後ろから差し返した。立場の違う馬たちが、それぞれ別の強さを見せたレースでもありました。


皐月賞へ向けて

今年の弥生賞は、レースレベルそのものはまずまず高かったと見ています。
理由は明快で、序盤に脚を使わせる区間があり、なおかつ最後も長く脚を使わせる流れになったからです。楽な平均ペースではありません。だからこそ、この流れで結果を残した上位馬には、それぞれ相応の評価が必要でしょう。

ただし、皐月賞はまた別の競馬になります。
今回は少頭数で、各馬の進路や立ち位置が比較的明確でした。しかし本番は多頭数。序盤のポジション争いも、4角の進路取りも、直線の圧力も一段上がります。弥生賞で見せた長所が、そのまま皐月賞で発揮できるとは限りません。

その中で、今回もっとも本番へつながる強さを見せたのはバステールでしょう。
後方で折り合い、最後に脚を爆発させる形は、展開待ちのようでいて、実はかなり武器が明確です。多頭数でもリズムを崩さず運べるなら、本番でも怖い存在になります。

一方で、地力の高さという意味ではアドマイヤクワッズも軽く扱えません。
今回のように前で流れを受けながら崩れず、なお勝ち負け圏で踏ん張れる馬は、本番で展開ひとつ噛み合えば逆転の余地があります。今回の3着は、単なる着順以上に価値があると思います。

ライヒスアドラーもまた、まだ良くなる余地を残しながらあの競馬です。
完成度で押し切ったというより、粗さを残しつつ能力でまとめてきた印象。だからこそ、本番までの上積みがあれば、さらに面白い存在になってきます。

総じて今年の弥生賞は、勝ち馬だけが強かったレースでもなければ、展開だけで決まったレースでもありません。
前で受けた馬にも、後ろで差した馬にも、それぞれ皐月賞へつながる材料がありました。
本番へ向けては、単純な着順比較よりも、多頭数になったときに、どの馬の長所がいちばん生きるのか。
そこをもう一段、丁寧に見極めていきたいところです。

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