追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は12頭。追い切り動画で確認できた全馬に評価を付け高評価としたのは5頭。
高評価馬の2頭が馬券内。【A】評価とした8番人気のサトノセシルも馬券内を確保し、参考になった方がいたかも知れない。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | テルツェット | B+ | 3 |
2 | マジックキャッスル | B | 1 |
3 | サトノセシル | A | 8 |
4 | フェアリーポルカ | B- | 6 |
5 | クラヴァシュドール | B | 7 |
6 | ローザノワール | B- | 12 |
7 | イカット | C | 5 |
8 | ウインマイティー | B+ | 9 |
9 | シャムロックヒル | B- | 10 |
10 | シゲルピンクダイヤ | B | 4 |
11 | ドナアトラエンテ | B+ | 2 |
12 | マイエンフェルト | B+ | 11 |
レース回顧
東京オリンピックのマラソンが札幌で開催される影響で、函館競馬場での施行となった今年のクイーンS。(例年は札幌競馬場での施行。)
勝ち時計は1:47.8秒。
本レースは、札幌競馬場の改修工事が行われた2013年に一度だけ函館競馬場で行われたことがある。その時の勝ち時計は:149.4秒。これだけでは参考にならない。
巴賞をはじめとする3勝クラス以上の函館芝1800mの平均勝ち時計を調べたところ、平均勝ち時計は1:47.7秒。
重賞であることを考えるとそれほど強調できず少し遅いと言えようか。
また、レース直線に雨が降りだしたが、パドックの時は雨は降っておらず、雨の影響はほとんどなかったと言って良いだろう。
ペースは、前半800mが47.8秒、後半800mが47.9秒。前後半差の少ないミドルペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、ローザノワール(国分恭)であった。
パドック
サトノセシル、マジックキャッスルの名前を挙げることはできたが、テルツェットは文字数が足りず名前を挙げることができなかった。ただ、これは実際に他の馬がよく見えた訳で仕方ない。
このレース。パドックを見る方なら感じたかも知れないが、パドックでよく見える馬が多かった。みな状態がよかったのだろう。勝ったテルツェットも悪くはなかったのだが、他によく見た馬が多く、筆者はパドックでこの馬の評価を落としてしまい馬券を取り逃してしまった。
テルツェットは追い切り【B+】評価だった馬。サトノセシル【A】とテルツェット【B+】とのワイドで1530円である。当初買う予定にしていた馬券であったが、パドックを見たことでこの馬券を買えず取り逃す結果になってしまった。パドックは穴馬を拾えることもあるが、今回のようにパドックを見たことで馬券を外すこともある。諸刃の剣で、どちらを重視するかについての筆者なりの考えはあるが、ここでの詳細な説明は割愛します。
感想
優勝したテルツェットは、最後方から馬場の真ん中を突き、上り最速となる35.2秒の脚を使って、マジックキャッスルをクビ差差し切っての優勝。ルメール騎手が前を走るサトノセシルの外に出さず、マジックキャッスルとサトノセシルの間を突くという判断が素晴らしかった。ルメール騎手も勝利ジョッキーインタビューで似たようなことを述べており、この選択がルメール騎手にとっても会心のチョイスだったということなのでしょう。
1勝クラスから一気の4連勝で重賞制覇した素質馬。これで重賞2勝目となった。東京・新潟・中山・函館と様々なコースで勝利実績があり、これは「安定して早い上りの脚が使うことができる能力がある」ためだろう。秋の活躍も見込まれる楽しみな馬だ。
2着マジックキャッスルは、4角でシャムロックヒルが上がってきた残り400m地点からの追い出し。もう少し追い出しを遅らすことが出来ていれば勝ちもあったが、このレースの流れをここまで読むのは難しく、これは結果論である。
前に厳しいレース展開の中、前目4番手で追走し、2着に粘ったあたりは能力か。追い切りではドナアトラエンテに遅れを取ったように見え評価を少し落としてしまったが、これは筆者の見立て誤りであった可能性が強い。パドックは全く問題なかった。能力どおりの走りをしたと考えて良いかも知れない。
3着サトノセシル。重賞で差して3着に食い込めたのは、この馬にとって大きな成果。前走は逃げて勝利したが、今回はテンに早い馬が他にいたため中団後方に控える競馬。道中、折り合いを欠くシーンも見せたが、大野騎手が上手くなだめる。馬もそれに応えよく我慢。折り合いに難しい馬が、それを克服し差して重賞で馬券内にくるということに、とても感動した。能力を出し切ることができれば強い馬なのだろう。追い切りからも、とても良い動きをしており、今後の伸びしろも感じる馬。5歳ではあるが今後にも期待してみたい。
大野騎手はとても上手な乗り方をしていた。4角でもマジックキャッスルとシゲルピンクダイヤの間を突くというしっかりとしたイメージを持っての騎乗は素晴らしかった。ただ、一つだけ苦言を呈するなら、前を走るマジックキャッスルとの間にスペースを空けることなく馬を走らせることができれいれば…。テルツェット(ルメール)はこのスペースを突いてきた訳で、これがなければ2着はあったかも知れない。
筆者時間の都合上、回顧はこの3頭に留めるが、最後に少し不可解な負け方をした、11着ドナアトラエンテだけ。スタートは無理に押すわけではなく自然なカタチで番手に付けたが、3角あたりから手応えが悪くなり、4角では後続に飲み込まれるカタチに。追い切りからも調子は悪くなさそうに見えたのだが…。正直次が少し心配になる負け方であった。
ただ、こういう馬は得てして次走の人気がガタ落ちになる。追い切りで動けていればよいのが、追い切り中心の馬券法のメリットであり、こういう馬には次走もよい追い切りを見せて欲しいと思うのである。