追い切り評価の結果はいかに?
出走馬16頭中、高評価としたのは5頭。
馬券内はフィエールマンの1頭も高評価馬が7着以内と健闘。(競争中止となったブラストワンピースは除く。)
追い切り評価の見立てはそれほど悪いものでなかったのかも知れない。
ただ11人気のサラキアの【B-】評価は、個人的には悔しい結果。有馬記念は今回のサラキアのような人気薄が1頭は絡むことが多いレース。こういう馬を探すためにやるレースでもあると思っているのだが…。
レースを振り返りたい。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | クロノジェネシス | B | 1 |
2 | サラキア | B- | 11 |
3 | フィエールマン | B+ | 2 |
4 | ラッキーライラック | A | 4 |
5 | ワールドプレミア | B+ | 5 |
6 | カレンブーケドール | B | 3 |
7 | ペルシアンナイト | A | 12 |
8 | クレッシェンドラヴ | B- | 16 |
9 | オセアグレイト | B- | 15 |
10 | ラヴズオンリーユー | B | 6 |
11 | ユーキャンスマイル | C | 13 |
12 | キセキ | B | 8 |
13 | バビット | B- | 10 |
14 | オーソリティ | B | 7 |
15 | モズベッロ | C | 14 |
止 | ブラストワンピース | B+ | 9 |
レース回顧
勝ち時計2:35.0秒はバラつきの多い長距離戦とは言え遅い。
過去9年の平均勝ち時計は2:33.0秒である。
この日の8Rで行われた中山8Rのグッドラックハンデ(芝2500m 2勝クラス)の勝ち時計と0.7秒しか変わらないことからも今年は遅かったという判断で良いだろう。
有馬記念 | グッドラックH | |
---|---|---|
2020年 | 2:35.0秒 | 2:35.7秒 |
過去平均 | 2:33.0秒 | 2:35.0秒 |
比較結果 | 今年の方が 2.0秒遅い | 今年の方が 0.7秒遅い |
(注)過去平均は、2011年~2019年の過去9年分
ペースは、前半1000mが1:02.2秒、後半1000mが1:00.7秒。後半の方が1.5秒早いスローペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、バビット(内田博)であった。
パドック
この日はリアルタイムにパドックは見れなかった。後追いで見たパドック動画では以下の4頭が良く見え、こうツイートしていたかも知れない。(後追いでのパドック評価となるため話半分に聞いて欲しい。)
6.キセキがパドックの外目を一完歩一完歩力強くしっかりと歩き、素晴らしい仕上げ。抜けて良く見えます。7.ラッキーライラックは、その素晴らしいキセキの後ろを歩き、本来見栄えしづらいところ、トモの厚み十分。筋肉の張りが目立ち力強く柔らかく歩けています。2.ブラストワンピースも落ち着いて歩けており、11.カレンブーケドールも上から踏み込むようにしっかりと歩けています。
14.サラキアは、歩幅は小さかったものの踏み込みしっかりの好歩様であった。(Twitterではツイートできなかったかも知れない。)
展開
スタート~4角(0m~500m)
- バビット、カレンブーケドール、オーソリティが好スタート。
- キセキが出遅れ。
- 前は12頭が固まり、クロノジェネシスとフィエールマンはその11頭目、12頭目。
- その集団からポツンと3馬身離れたところにサラキア。
1週目のスタンド前~2角(501m~1400m)
この早いタイミングでフィエールマン(ルメール)が動く。
この区間は上り坂となっておりペースが緩むところ。緩むことを見込んでのルメールの作戦だったと思われる。
フィエールマン(ルメール)は、この区間で前の馬を6頭交わし、1週目の向こう正面で2列目の番手のポジションを取る。
それに対して、クロノジェネシス(北村友)は最初のポジションをキープし、前から12頭目。
サラキアは、クロノジェネシスの2馬身後方でこれをマークする形でレースが進んだ。
向こう正面(1401m~1700m)
向こう正面に入ってすぐの残り1000mのハロン棒あたりから、今度はクロノジェネシスが動き出す。
フィエールマン(ルメール)を見て、北村友騎手はフィエールマンにあまり息を入れさせたくなかったのかも知れない。比較的早めの仕掛けであった。
なお、このレースの区間最速ラップは、この残り1000m~800mの区間(ラスト5F目)の11.8秒であった。
この区間ラップは先頭のバビットが刻んだものです。
1つ前の区間ラップ(1200m~1000m)が12.8秒で、逃げたバビット自身がこの区間で1秒近く加速しているにも関わらず、クロノジェネシスはこの区間で前を7頭交わしており、いかに早い脚を使っているかが分かる。北村友騎手は勝負に出ていた。
後方にいたキセキも、クロノジェネシスの仕掛けを契機に追走を開始した。
3角~4角(1701m~2200m)
クロノジェネシスももしかしたら、少し息を入れたかったかも知れない。
が、外からキセキ(浜中)がマクリ気味に追い上げてきており、「被される訳にはいかない」とクロノジェネシスは息を入れる間もなく3角~4角を回ることに。
3角~4角のほぼ中間となる残り600m地点で、クロノジェネシスはフィエールマンを1馬身差で捕らえられる位置(前から4頭目)まで押し上げていた。
フィエールマンは2番手で、先頭のバビットとの差は半馬身。早々にオーソリティ(川田)が脱落しており、ルメールとしてもこれは計算外だったかも知れない。
サラキアは前から14頭目。残り600m地点を通過した時点で、フィエールマンとの差はおよそ7馬身。クロノジェネシスとの差は6馬身であった。
このレースはラスト5F目からのロングスパート戦。最終コーナーを回る際、ほとんど馬のジョッキーが懸命に追う中、追われることなく4角を回ってきたのは、以下の6頭だけであった。
- フィエールマン(3着)
- クロノジェネシス(1着)
- ラッキーライラック(4着)
- ペルシアンナイト(7着)
- ワールドプレミア(5着)
- サラキア(2着)
ここだけ見ても、どの馬が強いのかが分かるよね。
最後の直線(2201m~2500m)
直線向いた時点で、フィエールマンとクロノジェネシスとの差は1馬身、馬体を少し離した形で互いに真っ直ぐ馬を走らせた。
ラスト1F(坂下)地点で、クロノジェネシスがフィエールマンを捕らえにかかる。
更に、後ろにいたサラキアが前の2頭を猛追。サラキアがラスト1F地点で、前の2頭とはまだ4馬身差あったもののサラキアの勢いがもの凄い。
残り100mでクロノジェネシスがフィエールマンを交わし、サラキアの猛追をクビ差凌いで優勝した。
1着 クロノジェネシスについて
レース展開で多くを述べており、ここであまり言うことはない。単純に強かった。
後方のポジションから、ロングスパート戦を外からマクっての横綱の競馬。「この馬が一番強い」と信じる北村友騎手の肝の座った好騎乗であった。
馬もそれに見事に応え、上がり3F時計2位タイとなる36.2秒で、春秋グランプリを制覇。
北村友騎手も勝利ジョッキーインタビューで述べていたが、来年以降、コントレイルやデアリングタクトらとの勝負も楽しみだ。
2着 サラキアについて
このレースで1頭だけ規格外の上り3F時計35.4秒。これはクロノジェネシスの上り3F時計を0.8秒も上回る時計。大外をぶん回して、後方14頭目から直線だけで、前の13頭を交わし去り、クロノジェネシスにクビ差まで迫った走りは、フロックでも何でもなく、相当の実力がなければできない芸当。アーモンドアイと同世代でクラシック無冠も、ここにきて本格化。来年は6歳。遅咲きの馬だ。
ピッチ走法の馬でかなり長く脚を使うことができる馬。今回のようなタフで上りがかかる競馬や、前がバテやすいロングスパート戦などにおいては持ち味がより発揮できそう。また、いつも外を回してくる印象のある馬。内で揉まれる競馬は苦手なのかも知れない。この馬にとっては外枠も良かったのかも知れない。
3着 フィエールマンについて
外枠発走という不利な状況から、最初の坂を利用して早めにポジションを取りに行くのは決めていた作戦だったのだろう。見事に決まって終始有利な状況でレースを進めることが出来たが、想定外だったのは川田騎乗のオーソリティが早めに脱落したこと。
最後の直線では併せる相手がおらず、最初に使った脚が最後に響く形となった。ただ、4着ラッキーライラックに付けた着差は、2馬身1/2差。十分な強さを見せてくれた。
パンパンの良馬場で、直線が長いコースなら、一番強いのはこの馬と筆者は考えている。
4着 ラッキーライラックについて
本レース回顧において、名前をほとんど上げることはなかったが、序盤は前から4列目の外を進み、前にカレンブーケドール、後ろにクロノジェネシスを置くポジション。
向こう正面でクロノジェネシスが上がっていった際も、後ろを追走し、最後の直線もクロノジェネシスの真後ろ。
最後は完全に力負け。この馬の上り3F時計は、フィエールマンと同じ上り5位タイとなる36.5秒。
ラッキーライラックは本レースで引退。若いころから才能を見せ、いつも一生懸命走る馬でファンも多かった馬だった。今回も一生懸命に走り力を出し切っての敗戦。
同じように、前向きで元気な仔を産んで欲しい。
5着 ワールドプレミアについて
武豊騎手のレース後のコメントが参考になると思うので掲載しておく。
「スタートを出ましたし、キセキが出遅れたのでスローになると思ってポジションを取って競馬をしました。しかし、道中ゴチャゴチャしていました。イレ込む面はマシでしたが、のびのびと走らせた方が良いタイプかもしれません」
netkeiba.com ~有馬記念のレース後のコメントより~
確かに武豊騎手のコメントにある通り、意識的にポジションをとって競馬していた。ただ内枠有利と思われていたこのレースが内枠の馬が全滅。想像以上に内枠がゴチャついていたのは間違いない。内にいた馬にとってはストレスのかかるレースだった。また、道中内目を走っていた馬が早めにバテだし、これらを捌くのに気を使い、4角時点でポジションが下がってしまっていた。
また、武豊騎手のコメントにある通り、道中かかるシーンも見られた。追い切りからもダイナミックな動きをする馬。能力を発揮できなかった馬の1頭として次走注目馬としておきたい。
次走注目馬:ワールドプレミア
6着 カレンブーケドールについて
スタートを決め、この枠からは理想的なポジションで競馬を進められた1頭。フィエールマンの序盤のマクリがなければもっと良い競馬ができていたかも知れない。とは実力は出し切れた馬の1頭であり、この着順に対して不満はないだろう。
7着 ペルシアンナイトについて
クロノジェネシスと同じ上り3F時計36.2秒(2位タイ)を繰り出して、一瞬「おっ」と思わせた馬。何せ筆者の本命馬。4角時点での手応え含めかなり熱かった。
筆者の夢はその後すぐサラキアによって打ち砕かれることになるのだが…。
ワールドプレミアの36.3秒、フィエールマン、ラッキーライラックの36.5秒よりも早い脚を使えており、調子は間違いなく良かったのだろう。結果は伴わなかったものの、単勝12番人気(単勝オッズ148.1倍)のこの馬に【A】評価を打てたことに筆者個人としては満足している。
競馬は何があるか分からない。だから面白い。
最後に
今年の有馬記念も多いに楽しむことができました。今年7月から始めたブログも、何とか半年間以上継続することができました。いつも読んでくださるみなさまがいなければ、途中でやめていたことでしょう。
いつも本ブログを見てくださる皆さま、そして、Twitterで「いいね」下さる皆さまへ
ありがとう
今年最後の記事はこの言葉で締めたいと思います。
(あっ、もしかしたら東西金杯の最終追い切り評価記事を年内にあげるかも知れませんね。笑)
それでは良いお年を。
2020.12.31 0:55 From jamie