追い切り評価の結果はいかに?
出走馬は10頭。追い切り動画で確認できた全頭に評価を付け高評価としたのは3頭。結果は【B-】→【B-】→【B】。高評価馬が軒並み下位に沈み、10頭中4頭のマイナス馬のうち2頭が馬券内と全く参考にならない結果になってしまった。
着順 | 馬名 | 評価 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | ギベオン | B- | 10 |
2 | デアリングタクト | B- | 1 |
3 | ポタジェ | B | 6 |
4 | グローリーヴェイズ | B- | 2 |
5 | キセキ | B | 3 |
6 | サンレイポケット | B+ | 7 |
7 | サトノフラッグ | B | 5 |
8 | ペルシアンナイト | A | 8 |
9 | ジナンボー | B- | 9 |
10 | ブラヴァス | B+ | 4 |
レース回顧
勝ち時計2:01.8秒は遅い。
3月に施行されるようになってからはまだ5年しか経っていないが、稍重馬場含む過去4年の平均勝ち時計は2:00.6秒であり、施行時期は違う年はあれど中京芝2000mで行われた過去10年の金鯱賞の中でも最も遅い。
ペースは、前半1000mが1:01.4秒、後半1000mが1:00.4秒。1.0秒後半の方が早いペースでレースが行われた。
このペースを作ったのは、ギベオン(西村淳)であった。
パドック
後追いでパドックを見たが、キセキが素晴らしいパドック。この馬は本当にいつもよく見せる。パドックを見ていたなら、この馬の馬券を追加購入していたことだろう。次点はサトノフラッグ。ペルシアンナイトが3番手。4番手にデアリングタクトをあげていたと思われる。
勝ったギベオンは毛艶良く筋肉の隆起も目立ったが、鶴クビ気味にチャカついた歩様で少し落ち着きなく見え、さして見栄えはしなかった。3着だったポタジェもパドックでは見栄えしなかった。
1着 ギベオンについて
もっともスムーズにスタートを切り、全く追うことなく難なくハナを奪うことに成功する。外からルメール騎乗のサトノフラッグが2番手に付けるもさしたるプレッシャーなく、淡々と淀みないペースでレースが進む。
表記はスローペースかも知れないが、西村淳騎手が作り出したペースはタフな淀みない流れ。向こう正面にある坂の前後で緩めず、むしろ若干のペースアップ。これが効果的だった。
大金星などという記事も見られるが、それほど大袈裟なものでもない。
勝つべくして勝った。そういう印象だ。
確かに圧倒的人気馬(デアリングタクト)が後ろに控えており、本馬に対するマークが甘かったということはあったかも知れない。
ただ、この馬はピッチ走法で走る馬であり、今回の馬場に合う走法であった。
また、左回りが得意な馬であった。
追い切り評価コメントでも、右手前に勝る走法で左回りが得意であることを示唆していました。
それを知る陣営が出した「逃げ」の指示と、それを実現したジョッキーの実力が成した結果と筆者は考える。
勿論、馬の能力もそれに応えるだけのものがあったのだろう。終わってみれば、この馬には中京芝2000mの重賞(中日新聞杯)での勝利実績もあり、2000mの距離を中心に使われ続けられてきており得意な距離。
「大金星」や「フロック」は言い過ぎで、むしろ単勝227.3倍が過小評価され過ぎというのが筆者の見解だ。
そういう私もこの馬は買っていませんでしたが、追い切りで動けていたなら遠慮なく買っていたと思います。
しかし、こういう馬場で、楽に逃げれる馬というのは本当に怖い。土曜日の中山牝馬Sもズブズブの不良馬場で逃げたロザムールがあわや優勝の2着。デアリングタクトの単勝被りで、この馬の単勝オッズに「妙味」があったことに終わってから気づくものである。
2着 デアリングタクトについて
最内枠から自然体で出して中団。最序盤から松山騎手の意識は外。小頭数ということもあり思ったポジションを取れていたとは考える。
淀みない流れを中団で追走し、最後の直線はスムーズに外へ。
エンジンのかかりが悪く、なかなか伸びてこなかったが、これはこの馬に限らず全馬同じ。ギベオン西村淳が作り出した絶妙なペースと、この馬場に終いの脚を削がれたという見方ができる。最後に伸びたように見えたかもだが、これはギベオンが止まっていただけだろう。
となると、牝馬3冠馬としての地力としては少し物足りない印象も否めない。
ただこの馬の狙いは、次走の香港クイーンエリザベス2世カップ(G1 シャティン芝2000m)。追い切りの動きからも今回状態は100%でなかったのだろう。
ギベオン(藤原英×西村淳)にはしてやられはしたものの、十分力を示せたのではないだろうか。
気になる点は、坂で右ムチを入れた時に左にヨレた点。ジャパンカップでもこの悪癖は見せていた。今後の課題かも知れない。
3着 ポタジェについて
大外枠から終始外目の3番手を追走し、グローリーヴェイズと並ぶ上り4位タイの脚でG1馬グローリーヴェイズをハナ差凌いでの3着は立派。
1勝クラスからの4連勝はなかなかのものであり、素質馬なのだろう。母ジンジャーパンチは、筆者のもっとも好きな馬であるルージュバックの母と同じ。ルージュバックとは全く走り方が異なるが、能力は確かなのだろう。
馬柱だけ見るとプリンシパルSで33.3秒台の末脚を出したかと思えば、1勝クラスの生田特別では重馬場で上り最速も出せている。この馬の全レース動画をみていなければ確かなことは言いづらいが、馬場不問の万能タイプに思える。
今回も実績上位馬相手に立派な競馬。今回の追い切りでは目立って見えなかったが、決して悪い訳でもなく、据え置き評価の【B】評価としていた。
今後も注目したい馬だ。
その他、高評価馬について
8着 ペルシアンナイトについて
追い切りも素晴らしく、パドックも問題なかったことから、調子が良かったことは、ほぼ間違いないと信じたい。
時間なくやや雑な敗因分析となるが、この馬は大きなフットワークで走る馬。今回は馬場が合わなかったと整理したい。